ケータイ小説 野いちご

純愛バトラー

【其の壱】執事、就任す
姫君にお茶を

 あの後。

 オレは何件もの文房具屋に引っ張り回され、絵理の筆記用具に対する講釈を聞きながら屋敷に戻った。

 女と一緒に買い物に行った事は多々あるが、丸一日文房具屋に付き合わされたのは、これが初めてだった。

 絵理は戦利品を嬉しそうに抱え、上機嫌で鼻歌なんか歌っている。

「本日はまことに充実した日であった。陣。付き合ってくれたこと、心から礼を言うぞ」

「執事として、自分の仕事をしただけです」

「そうであっても、だ」

 そう言って、オレに満面の笑みを向ける。

 その様子が、何とも愛らしい。口調と思考回路はエキセントリックだが、こうして見ると年相応の女の子なんだな、と思う。

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