ケータイ小説 野いちご

純愛バトラー

【其の壱】執事、就任す
姫君の休日

 翌朝。
 オレは絵理を起こすために、離れに向かった。

 母屋と離れを繋ぐ渡り廊下からは、中庭の桜が良く見える。
 さわやかな風、まぶしい朝日。
 今日はいい天気になりそうだった。

 絵理の寝室をノックすると、既に起きて着替えも終わっていたようで、すぐに絵理が出てきた。

「おはようございます。お嬢様」

 笑顔で挨拶する。営業スマイルだ。

「おはよう。起しに来てくれた事、礼を言うぞ」

 やわらかい笑顔と口調のギャップは、まさしく戦国時代の姫君を思い起こさせる。

 離れを出て、渡り廊下を並んで歩いた。

「いえ、当然のことをしたまでです」

 昨日はうっかり取り乱したが、ここは職場。営業スマイルは崩さない。

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