「ってぇ…」


あいつ…


思いっきり蹴りやがった。


仕方がなかったんだよ、家まで送るなんて言い出すから…


あいつは頑固だから、送って行くって言い出したら絶対引かないだろうし、


ひとりで帰るには、ああするしか俺には方法が見つからなかった。


あぁぁぁ!!!


せっかく打ち解けてきたというのに…


完全に嫌われたな…


「はぁーーーっ…」


もう、どうすりゃいいんだよ…



『勇輝さん、指名が入りました!』


マネージャーに呼ばれ、


「はいはい」


今日も頑張りますか…



重い腰を上げ、気持ちをホストモードに切り替える。


「ようこそいらっしゃいませ。ご指名ありがとうございます…」


極上の笑み、極上のサービスでお客様をもてなす。


ここは現実とは違う世界…


女性に夢を与え、笑顔を引き出すのが俺達ホストの仕事。