その夜。

お風呂からあがって部屋に戻ると携帯が鳴っていた。

麗美姉ちゃんだった。

『なに果穂里、あんた告白されたんだって?』

電話向こうから、はしゃいだ声が聞こえてきた。

「達郎兄ちゃんがしゃべったの?」

『訊いたら教えてくれたのよ』

口止めしとけば良かったコンチクショウ。

『返事はしたの?』

「ううん、まだ」

達郎兄ちゃんがいつの間にか聞き出していた湯月くんのTEL番とメルアドは携帯に入っている。

でもあたしの中ではまだ気持ちが固まっていなかった。

『その彼のこと嫌いなの?』

「別に嫌いじゃないよ」

ただ、湯月くんとはクラブ活動の時しか接点がない。

お互いのプライベートを話すほど親しくはない。

『好きとか嫌いとかの対象じゃないわけね』

「うん…」

『その彼って、クラブの時はどんな感じだったの?』

湯月くんは訪問先の園児やお年寄りに対してものすごく優しくて、面倒見が良かった。