本格的な冬が訪れようとしている十一月。
 寒空の下、私は学校の屋上にいた。

 今はどこのクラスも授業中。
 つまり、私は授業をサボってここにいたりする。

 こうなったのも、保健室で頭痛と格闘していた私が頭痛薬という助っ人の力を借りてなんとか頭痛に勝ち、授業に戻ろうと保健室を出たけれど、

 "後少しでチャイムなるし…まあ、いいか"

 と、思ってしまったからな訳で──…。





「う…やっぱり屋上はきついかも…」


 この時期独特の刺す様な冷たい風が私を通り抜け、ぶるっと震えた身体を縮こませる。


 寒さで色がなくなった手を摩りながら私は何気なく、グラウンドでサッカーをして元気よく走り回っている紺色のジャージを着た男子生徒達を見た。


 あれは…。
 白ラインってことは同じ一年……どこのクラスだろ?


 学年毎に違うジャージのラインで同学年だと判断した私は、安全の為にあるフェンスを軽く掴みながら、見知った顔はいないかと捜してみる。

 すると、グラウンドの隅の方で独り寒そうに座っている男が目についた。

 気になってじっと見ていると、


 ──っ!


 ふとその男と目が合った気がした。


 やば……。


 突然のことに一瞬ドキリ──。
 でも視力の弱い私は気のせいだと無理矢理思い込むことにした。

 一応さぼることに対して罪悪感はあるんです。それなら初めからサボるなっていう話だけど。