ヤツの勝手な振る舞いで拘束されてから、約5分後。


とうとう…というか、ようやく。



煌びやかすぎる、バッキンガム宮殿の入口へ到達してしまった。



入り口付近に佇む私たちに、届けるように漏れ聞こえる旋律。


確かモーツアルトの曲だけど、…題名は分からない。


たとえ、庶民でも知ってる有名曲だとしても。


音楽の授業しか、私とクラッシックに縁は無いしね?



そんな問題が湧き出るほど、漂う空気から庶民の世界とは違う。



外気までセレブオーラが蔓延してるのよ…!


アラビアン宮殿みたいに、何か輝いて見えるし。


平凡な庶民にはもう、息をするのさえ辛くて。



早く下界の空気を吸いに、一目散で逃亡したいよぉお…!


悲しいくらい、この気持ちに苛まれているのに…。