あたしたちは夕方までプールで遊びほうけた。


「流奈、たぶん真っ黒だぞ」

「翼もね」

「夜はきっとヒリヒリして痛いなぁ」

「痛くて眠れないかもね」

「そろそろ行くか!」

「うんっ!」


たくさん、たくさん写真を撮った。


初めてのデート。


すごく楽しかった。


プールって場所がこんなに楽しい場所だなんて、今日初めて知った。


帰りの車の中では睡魔が襲ってきた。


横を向くと翼が真剣な顔をして運転していた。


そして、繋いだ手を見て、あたしはほほ笑み、そっと目を閉じた。


「流奈、疲れたろ?少し寝てな」

「ううん、ぜんぜん大丈夫!」

「流奈、子供みたいにはしゃぐからな」

「だって楽しかったもん」

「また明日から仕事だよ」

「うん……。寂しい」

「俺は逢いに行くけどな」

「うん!」


しばらくして翼のピッチが鳴った。


「もしもし、はい、あ…はい。わかりました!はい、お疲れ様です」


電話を切った翼は、なぜかうれしそうだった。


「流奈ぁ~!明日、休みだって!現場空いたみたいでさ!」

「本当?」

「だから今日、一緒にいよう!」

「うんっ!」

「……って、流奈は学校だよな……」

「学校?ぜんぜん行ってないし」

「俺ダメな奴じゃん。ダメだ!学校行かなきゃ」

「嫌!今日だけだから。翼といる!」


あたしは雄也と別れて以来、まったく学校に顔を出していなかった。


「俺も一緒にいたい……。でも学校には行ってほしい」

「わかった。じゃ、朝起きてちゃんと行く」

「本当?」

「うん」

「それから……、俺と約束してほしいんだ」

「約束?なに?」

「ちゃんと学校に行くこと!あとは、悪いことしないこと!流奈は女の子なんだから」

「うん……。わかった」

「よろしい!じゃあ、明日、俺が送ってやる」

「本当にぃ~?やったぁ~!」


翼は喜んでいるあたしに、いい子いい子してくれた。