理恵に電話をしたら、びっくりして泣いていた。


「ねぇ理恵、遊びに行かない?」

「いいよ~!」


なにも懲りてなかった。


あたしは顔の腫れと傷を隠すために帽子をかぶって、足を引きずりながら理恵の家に向かった。


「流奈っ!ひどい……」

「いつものことだよ、大丈夫!」

「ごめんね……、流奈」

「平気だってば」


理恵に罪悪感を感じさせたくなかった。


「ねぇ、雄也クンと別れなよ。そこまでされて……、愛あるの?」

「別れるよ、もう」

「悪いこと言わない。雄也クン、女といたよ」

「そう……」


そんな言葉を聞いても、悲しくはなかった。


そう……、


もうあたしは麻痺していた。


どうでもよくなっていた。


理恵のいる前であたしは雄也に電話をした。


「雄也?もう別れよう」

「はぁ?おめぇはよ~、なんなんだよ!」

「なんとでも言いなよ!さよなら!」


電話を切ったとたん、一気に力が抜けた……。


そして、頭の中に翼の顔が浮かんだ。


逢いたいな……


雄也に別れを告げたあとなのに、あたしは翼のことで頭がいっぱいだった。


「やっぱり今日は帰るよ!こんなんじゃナンパもされないじゃん!」


理恵としばらく話したあと、あたしは家に帰った。