夜のコンビニの前にたむろする集団がひとつある。六人ほどの男女が地べたに腰を下ろしたままタバコをふかし、たわいのない話に花を咲かせては時折奇声を発して騒いでいた。

傍には空になったビールの缶がいくつも転がっているが、見たところ中学生か高校生の集団のようだ。

 早百合はその中にあってふと雑音から意識を離し、手を伸ばせば届きそうな星々が散らばる夜空に目を向けた。一斉に湧き起こる下品な笑いの中にあって、その姿は一人だけやけに浮いていて不自然に映る。

 その姿を見止めた早百合の彼氏である淳二が声を掛けた。

「おい、何見てんだよ」

「いや、別に……星が綺麗だなあって……」

 その言葉にその場に居る全員が空を見上げた。

確かにいつもより澄んでいる気はするが、ビルの少ない地方都市である、いつも澄んでいて取り立てて強調するようなものでもない。

「なんだそれ?」

 すぐに興味を無くした仲間たちは再び話に戻ってゆく。その内容は誰が誰をシメただとか、どこのゲームセンターで誰々がやられたとか、自分がどれだけ強いかという自慢話。それが延々と続いているだけだ。