津也と別れた後、シオンは疲れを癒すために待機所に戻った。

 時の流れから忘れられた存在であるシオンは、空腹も感じないし眠る必要もない。

「なのにこの虚脱感…体はともかく、心は時間の中にあるのかしら」

 呟いても、誰が答えるわけでもない。

 あれから、何度か戦った。

 その度に、アルベルトの末路を思い出した。

「戦いに明け暮れて目的を見失えば、私もイーフリートに取り込まれるかもしれない…」

 戦って敗れるのなら、仕方のないことだ。

 しかし、顔も見えない傍観者の思惑に邪魔をされたのではたまらない。

 流された血が、潰えた無念が、それこそ無駄になってしまう。

 命を失うことより自分の存在が無意味になってしまうことの方が、シオンには恐ろしかった。