食事を済ませると、闇珠は浴室を見に行った。

「へえ、結構広い」

「一応な、家族で入れるように造ったからね」

 湯船に湯を張りながら津也が言う。

「確かにこれだけ広かったら、三人くらい楽に入れるわね」

「…四人、のはずだったんだ」

「え?」

「双子のはずが、産まれたのは俺だけだった。俺は、兄弟の命をもらったんだ」

「そう、だったの…」

 闇珠は神妙な面持ちになるが、津也はぱたぱた手を振る。

「気にするなって。成り行きなんだから、しょうがなかったし」

 何か言いかけた闇珠の頭を撫でると、津也は浴室を出る。