「あれは私が倒します。あなたが関わることではありません」

 振り向きもせずに言い放つシオンの肩に、津也は手をかける。

「引っ込むのはあんたの方だぜ、シオン」

「え?」

 いぶかしむシオンを押し下げ、アルベルトに対峙する。

「あいつは俺にケンカを売ってきたんだ。黙ってなんかいられるか」

 シオンの前に立ち、前羽の構えを取りながら津也は続ける。

「それに、こういう場面で女の陰に隠れてたら、男が廃るってもんさ」

奇声を発しながらアルベルトが振るうムチを払いのけ、

「あいつを片付けたら、決着つけよう。まあ首でも洗って待ってな」

 きょとんとした顔で首筋に手を当てるシオンを尻目に、津也はアルベルトに向き直る。