いつの間にか、世間はすっかり春だった。



桜の花びらが風に頼りなく飛ばされて、はらはらと肩に舞い落ちる季節。


全部が新しいもので満たされているように見えるけど、あたしの生活は何も変わっていなかった。



相変わらず、大学で仲間たちと騒ぎ、飲みに行ったりコウタロウと過ごしたりする日々。


例のリョウさんとも時々会って、あたしは抱かれた。


客も定期的に呼び続けていた。



だからあたしは財布が寂しくなることもなく、誰よりも早く春の新作のブランドバッグを手に入れることができた。





……桜が全ての花びらを手放そうとする頃。



周りはそろそろ就職の話なんかで騒がしくなってきているけど、あたしは自分が会社に勤めてるとこなんか想像できない。


どうせあたしのことだから上司と不倫でもして、コピー機の上でセックスしたいから出社するってのがオチだ。



何も変わらない日々。


変わったのは、少し伸びた髪と

携帯の機種と、



そして週末だけ――。