スクーターよりはマシとはいえ、高低差のある高速道路においては、軽トラではパワー不足は否めない。他の車に豪快に追い抜かれては、その風圧で車体を揺らす。

(あのじいさん、すごくありがたかったんだけど……)

 ハンドル脇の計器に目を移す。

(ガソリン入ってねえじゃん)

 もうすぐ山口インターチェンジを通過する。次のサービスエリアまでたどり着ける保障は無さそうだ。

(仕方ないか)

 進路を左に取ると、インターチェンジへの進入路に滑り込んだ。

 やや遠くに望む市街地は先ほどの隕石群の落下によるものだろうか、上空に黒い煙を激しく立ち上らせ、一見して大規模な火災が起きていることが認識できた。

 インターチェンジを降りると信号機が色を失っている。どうやら電気も遮断されてしまったらしい。