幼稚園は

私の家からすぐ着くとこにあるので、
歩いて行った。


『…こんにちはー』


もう幼稚園の子達は帰っている時間で、幼稚園は凄く静かだった。

絵里さんはいつも園長室にいるので私は園長室に向かった。

絵里さんは昔から園長さんだった訳じゃなくて、

私が卒園してしばらくしてから、前の園長さんと交代したんだ。

私が園長室に行くと、先客が居たようで、何か話していた。

立ち聞きするつもりはなかったけど、

あまりにも薄い園長室のドアから聞こえる声は私に会話を聞かせるには十分だった。


「絵里さん!ホントありがとう!朱鳥とまた会えるなんて…夢にも思ってなかった。最後にいい思い出ができたよ」



それは紛れもなく
私の悩みの種で。


朱鳥っていうのは
私の名前で。


彼が話しかけているのは


私の信頼できる人で。


一体何がどうなっているのか分かってないのは私だけで。