鞍馬の山の奥深く、誰も寄りつかぬ岩山にその修験堂はあった。

 修理に斬られた三人の処刑人の骸はそこに運び込まれていた。憤怒の相の孔雀明王の本尊の前で護摩が焚かれ、堂主が呪を唱えている。その後ろに骸、そしてまたその後ろには数名の修験者姿の者達が、胡座をかいて座ってた。

 呪法が終わると堂主はすくと立ち、骸の前に片膝を突いて凝視し始めた。周りの者達も同じ格好をしてその周りを囲む。

 堂主が苦々しく口を開いた。
「・・・治部殿(石田三成)から散々の御叱咤であった!儂等は役目を解かれたわ!太閤殿下は儂等のことは知らぬので、木下殿にとばっちりが行ったがな」

「邪魔が入ったのは必定!誰が一雲殿等を倒したかが問題!」
「関白殿下にそのような助っ人が居ったとは何も情報が無かったぞ!」

「一雲等、三人を相手にして無傷で済む武士はそうそう居らぬ!これを見よ!」
 堂主の五部浄(ごぶじょう)は佐久間一雲の骸を指さした。

「一雲は人中路を真っ二つにされておる。一雲は雷刀での斬り合いで負けたのじゃ。ということはこの時既に、天馬、鞍馬の二人は倒されておる!」
 居並ぶ者は驚いた!
「ではたった一人で!」