今日は一香の家に行く――
一香の好きなケーキを買って。
緊張しながらドアの前に立つ。
唯一の救いが、1人暮らしと言うことだけだった。
高まる鼓動と一緒に
5回目のトライでやっと
インターフォンを
押すことが出来た。
ピンポーン♪
「はぁい♪」
一香の嬉しそうな声が、ドア越しに聞こえた。
ボクは、背筋を伸ばし一香を迎える準備をする。
カチャッ
「遅かったね☆」
一香はとびきりの笑顔で迎えてくれた。
「ごめん、ケーキ屋さんが込んでて……」
10分もここでためらっていたなんて、恥ずかしくて言えない……。
「ケーキ嬉しい♪ さぁ、入って!!」
高鳴る鼓動を、悟られないように、わざと大きな声でボクは言った。
「久しぶり!! お邪魔します」
ケータイ小説 野いちご
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