【ゆかり】



「ねぇ…先生、こういう時間って直と何話すの?」


卒業前の最終の個別相談。


進路や、試験や…


毎日、放課後何人かずつ先生と話すんだ。



直は、先生との二人きりの時間をすごく喜んでたけど…専門学校の入学手続きの話をしただけだと言ってた。


なんか…そんなの変じゃない?


二人きりなんだから…ラブラブな話したっていいじゃん…


「矢沢とも、みんなと同じような話しただけだよ…」


先生は机に肘をつきながら、ふーって息を吐いた。



まじまじと先生を見る。


直がたっくんをフッてまで選んだ人。



こうやってじっくり見ると、確かにかっこいいよね…新垣って。


教師に恋愛感情抱いたことないから、わかんないけど…

直と付き合ってから、先生のいい所がよくわかる。


直を大事に思う気持ちとか、さりげない優しさとか……


いい男だって思う。



私に言われても嬉しくないと思うけど。


「どうして…せっかく二人になれたのに話さないの?」


私は、先生の顔じ~っと見る。



「ケジメ…かな。会って、好きだとか言ってしまうと、止められないから…手を握っちゃうと、キスしたくなるし…抱きしめたくなるし…あと少しだから、我慢しなきゃなぁって。」