誰かに恨みを買うようなことは生まれてこのかたしてきてないつもりだったけど、妬みからか自分に向けられる突き刺すような視線と言葉にどんどん自信をなくしていった

日本でひっそりと影を潜めて暮らすことに見切りをつけ、新しい生活を求めて、本来の自分でありたくて渡った太平洋だった

家庭環境が原因だと思っていたけど、そうじゃなかった・・

この地で、ソレを知るものはいない

父親はこっちの映画にもでるし、たまにドラマにもゲスト出演しているけど、東野潤也が自分の父親だなんて誰も知らないはず・・

そう考え、心花は伏せていた視線をフッと上にあげた

“全ては自分の責任・・・”

ジョーと幼稚舎から中等部まで通っていたエリーでも、早起きして通っていた高校でも私の行動が招いた結果だった?

そう考えると納得いく節がある

実際、ジョーの周りは男女関係なく人の輪ができていた

同じ環境で育ってきているのに、ジョーはエリーでの学生生活を楽しんでいるのだ

特になにかしたわけじゃない

そう、何もしなかったのだ

隣の席の人に挨拶をしただろうか・・

その前に、隣にどんな人が座っていたか思い出せない

幼稚舎から中学卒業までの12年間、半分以上は同じメンバーだっていつかママが言ってたけど、ジョーとケーゴくらいしかわかならい自分はどれだけの人間なんだろうか・・・

ブライアンの運転する車の助手席でココは何か憑き物が落ちたような・・そんな清清しい気持ちになっていた