急な突風に煽られ、街路樹がザワザワと揺れた。


立ち止まった私の髪を、風はさらっていく。



「―――…」


目を逸らすことが、出来ない。


だからこそ、レキの瞳を見たらわかる。



…レキは、確信してる。


私に、海賊と"何か"があったと。



でも、確定的な言い方じゃなくて、問いかけてくれた。


私に、首を横に振る時間を与えてくれたの。



―――泣きたくなった。



「…レキ、ありがとう」


震える唇を動かし、私は微笑んだ。


「変なの。俺何も良いことしてねーよ?」


苦笑するレキに、私は首を振った。


…ううん。

レキは、優しい。


どうしてみんな、こんなに優しいんだろう。



ゼンのときもそうだった。


優しさに触れたから、信じてみようって思った。



…話してみようって、思ったの。