「「ようこそ!Queen号へ!!」」


ゼンに続いて、船に乗り込んだ私を待っていたのは。


たくさんの…人。


「…はぁ…お前ら、見てたな」


横でため息をつくゼンに、一人の男の人が近寄った。


ふんわりとした柔らかい栗色の髪は、少し長めに伸ばされていて、同じ色の瞳は、愉しそうに細められている。


「ばーっちり見てたから!我らが船長の勇姿と…」


ゼンの背中をバシバシと叩きながら、その男の人はちらりと私を見た。


「…君の、勇姿をね」


風に靡くその髪の隙間から、銀色に輝くいくつものピアスが見えた。


「あ…えと…ありがとうございます」


どう答えればいいかわからず、取りあえずお礼を言ってみると、男の人はクスッと笑った。


「可愛いねー♪初々しい感じ。君、名前…」


にこにこと近づいて来るその人に、見事に蹴りをいれたのは…女の人。


軽く吹っ飛んだ男の人は、頭を抱えて起き上がる。