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 あたしは南国の焼くように暑い太陽に蒸されながら、パラソル下でゆっくりしていた。


 普段からあたしは夜の銀座ばかり行き来しているからか、目の前に広がる光景は珍しく、また一際新鮮だ。


 それにあたし自身、悠然と構えながら、ギラギラと輝く太陽に焼かれ、寛ぎ続けていた。


 南国の時間はゆっくりと流れ、あたしは時折持ってきていたアイソトニックウオーターのペットボトルを捻り開け、中身を一口二口と呷る。


 そう、ものの一時間ほど経ってか、喬が傘の下へと帰ってきた。


「暑いね」


「うん。……日本は今冬なんだけどね」


「ああ。もし帰ったら、何て言われるだろうな?」


 喬がすっかり日焼けしてしまった全身を見せつけながら、笑顔を見せる。


 そこには新宿歌舞伎町にあるホストクラブのルイでホストをやっている喬の顔はなかった。


 代わりに二十代の若々しい青年の顔が見える。