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 あたしたちは下の方の階から上がってくるエレベーターを待ち、迷わずそれに乗り込む。


 閉まると、ボックスがゆっくりと下降し始めた。


 そう、あたしと喬、二人以外誰もいないエレベーターで、外には青い海が見えている。


 今日もビーチは暑いようだった。


 蒸すような陽気が辺りにある。


 あたしたち二人はしっかりと手を繋いだまま、ボックスが一階に下りていくのを待つ。


 程なくして、エレベーターは一階に着いた。


 あたしも喬も一階フロアに降り立ち、二人で手を携(たずさ)えて歩いていく。


 ゆっくりとした南国の時間が流れていき、あたしたちを包み込んだ。


 四季を知らない島は今日も晴れ渡り、あたしたち二人はホテルのフロントにキーを預け、出入り口に向け歩き出した。


 あたしも喬も同じ気分だ。


“常夏の島を楽しもう”