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 女性にとって三十代というと、紛れもなく成熟期だ。


 体のラインは徐々に崩れてはくるものの、あたしは自分の裸体を風呂に入ったときなどに見つめながら、ついついそう思ってしまう。


 種村の方は三十路を迎えたあたしを変わらず抱いてくれていた。


 ちゃんと変わらず愛してくれる。


 あたしは彼に抱かれながら思っていた。


“いつかはこの人だって、あたしを捨てて別の若い子と付き合うようになるわよ”


 そのときはあたしの方から身を引くことに決めていた。


 だが、あたしは心の奥底では感じている。


 仮に種村があたしから離れていったとしても、性のパートナーが欲しいと。


 そしてあたしはたまたま新宿に行ったとき、歌舞伎町のルイでホストをしている喬と偶然知り合ったのだ。


 もしあたしがあのときルイが入っている雑居ビルの前で足を止めなかったら、彼とは出会えていなかっただろうと思う。


 あたしは派手な電飾看板が連なっている目抜き通りを歩き、ルイに吸い込まれるようにして入っていった。