翌日の気分は最悪だった。


耳障りなセミの声にもイライラするし。


それでも足を動かす。

朝の日差しを反射するアスファルトを恨めしげに眺めた。

この先にあるのは学校。


補講……行きたくないな……。


どんな顔して会えばいいんだろう。


イッペー君の困ったような顔を想像しては、何度もため息が出た。



授業が始まる直前に教室に到着した。


昨日はあたしより早く来ていたイッペー君。

だけど今日はまだその姿はなかった。



とりあえず、席につく。


静かな部屋に壁掛け時計の秒針の音が響く。

それに呼応するように、自分の鼓動を感じる。


夏だというのに、

握りしめた指先が氷みたいに冷たい。



――ドクン、ドクン


3分……

5分……10分……経っても



イッペー君は現れなかった。