「で…朝起きて、ホテルにいるのに何もなかった事を嫌味っぽくからかってやろうとしたらさ、雫は全然覚えてないし。」



「ごめんなさい…。」


昨夜の事を全て聞いて、恥ずかしくて申し訳なくて、どうしていいか分からなかった。

もちろん、マサ君の顔も見れなかった。



だけど、マサ君は少しあきれた顔して笑ってた。


「気にすんな。雫が酒に弱いって分かったから、もう同じ過ちはしないよ。」

「過ちって!?」


なんかそんな言われ方嫌だよ。

私が不安そうな顔をして見つめたからだろう。

視線に気付いたマサ君は、さっきからずっと繋いでいる私の手を、今度は両手で包み込んでくれた。


「変な意味じゃないよ。真剣な話は、飲んでない時にしようって思っただけ。
そうしないと、覚えてて貰えないだろ?」

そう言って優しく微笑むマサ君。

包まれている掌からも体温が伝わってきて、私はドキドキしてしまう。