昼休み。

私は宗助と、お弁当を食べている。

昨日は、あいつの前で、うかつにも泣いてしまった!
櫻井咲!一生の不覚だぁぁぁ!!

私はそれをかき消すように、ガツガツとお弁当を口に詰め込んだ。


それにしても、あの光、何だったんだろう。

身体が光ったのは、ほんの数秒の事だったけど。
もしかして、陽の力が目覚めたとか!?

……でも、その割には、変化が無いような。


う~ん~。

私には、わからない事だらけだよぉ~。


「何か、さっきから凄い顔だね」


どうやら、一部始終を見られていたみたい。
宗助は笑いながら、おかずを口に運んだ。


「何か悩み事?俺で良ければ、話聞くよ?咲の力になりたいしさ」


「宗助、有難う。だけど、大丈夫だから」


こればっかりは、流石に言えないしね……。


「でも、咲……」


「よし!お弁当も食べたし!そ、そろそろ、教室戻ろうか?」


慌てて片付け始める私。

すでに食べ終わった宗助も、腑に落ちない表情を浮かべていたけれど、何とか教室の前で別れた。


宗助に手を振り、教室に入ろうとした、その時。


ドン!!


急に、誰かがぶつかり、私は尻餅をついた。


「な、何……?」


「悪ぃ!今、ちょっと立て込んでるんで……て、なんだ。あんたすか」


布袋~お前かぁぁ!!


「はぁ!?ぶつかっておいて、よく言うわね」


「……だから、急いでたんすよ」


布袋は面倒くさそうに、仕方なく手を差し出した。私はその手を掴み起き上がる。


「ウフ、いつもダルそうな君が、廊下を元気に走ってるなんてね。珍しく忙しそうね、大智くんは」


「そ。俺はこんな事してる場合じゃ……」


「大智く~ん!!」


何処からか、女の子が走って来て、思いきり布袋に飛びついた。
まるで、お人形さんみたいに、可愛い娘。


「あ~あ……」


布袋は、さっきよりも一層ご機嫌が悪いご様子。一瞬にして、眉間にしわが何重によった。


「何なんすか!?もう俺に付きまとうの、やめてくれないかな!?」


布袋は、迷惑そうに彼女を剥がそうとするが、ぴったりとしがみついて彼女は離れない。


「そんな、嫌がらなくてもいいじゃない?私は、あなたに興味があるの!」


「俺は、全くないっすよ!」


そっかぁ。
布袋でも、こんな可愛い娘にモテたりするんだぁ。


私は、ふと、隣の席で寝ている大黒天に、視線を送る。

こいつ……。毎日がこんなんで過ぎて行き、さぞ色気の無い生活を、送っているんだろうなぁ。

ま、弁財天とはいい感じだったけど……。


そんな事を思っていると、突然目を覚ました大黒天と、視線がバチリとぶつかった。


「……」


や……ヤバい!!


私は、何事もなかったかのように、視線を前に戻した。