あたりは夜の静寂に包まれている。


何も音が聞こえない。


「ここは…?」


闇に広がる、
1人の少女の透き通った声。


あたりを見回すが、
誰一人いない。


ここがどこなのか、
なぜ誰もいないのか、
その少女には全く分からなかった。


「あたしは…1人なの?」


寂しげな声が響く。


《いいや、1人じゃないよ。》


突然、
どこからか聞こえてくる男の声。


「えっ?誰なの?
誰かいるの?」


少女の問いに、


《側にいるよ、君の側に。》


と男は答えた。


「どこ?
見えないよ。」


そう。
あたりは真っ暗。


何も見えない。