「…俺、まったく出来ねぇじゃん。」


金石は座り込んでしまった。


―――今の時刻は、20:46。


水華と木本と別れてからずっと練習しっぱなしだ。


だが、
金石にはいっこうに覚醒する兆しが見えない。


一方の沙弥はというと、
一度覚醒してから、
徐々に魔法の才能を発揮し始めていた。


「岬はいいよな〜。
そうやってさ、すぐに何でも自分のモノにできる。」


金石は、すっかり暗くなった空を仰いだ。


「金石…。」


そんな金石を見て、
沙弥は申し訳なく思った。


しかし一方で、
金石はすごく大きな力を持っているように思えて仕方なかった。


沙弥も金石の『何か』を感じ始めたのだ。