「…おいコラ。
さっさと起きろ。」


沙弥に脇腹を蹴られ、
金石は少し痛そうに顔をしかめるが、
またすぐに眠りにつく。


「………。」


そんな金石に、沙弥はあきれ返っていた。


(水華と木本を待たせてるかもしれないのに…っ!!


このバカは………!


…って、えっ?!
もう16:36!?

うわー…。

弓道場から食堂までは2分くらいで行けちゃうからなぁ…。

きっともう待ってるよね…。


よし!
『あれ』を試してみるか………。)


沙弥は少し声を張り上げて、
【アサシ】の手帳に載っていた【呪文】を唱えた。


「『大地を潤す水よ、
彼の者に恵みを与えよ』。」