第十の月 二十五日

 朝食を終えた。城に連れられて九度目の朝食だ。捜索隊が城を経って九日、恵孝が町を出て十日目の朝である。

 恵弾は食後の茶を飲みながら、手紙を読んだ。恵正と富幸が代わる代わる手紙を寄越す。内容はどちらも大差はない。恵正の手紙が患者や治療のことであるのに対して、富幸は家の中のことであるが、ともに家族のことよりも恵弾の身を案じ、そして恵孝の無事を祈っていた。

 ごとん、と机の上に重いものが置かれた。顔を上げると、両の握り拳を合わせたほどの大きな湯呑みがあり、その先には暁晏の疲れた顔があった。湯呑みには乳白色の液体が入っている。牛の乳を温め、黄豆の粉末と砂糖をたっぷりと溶かしてある。
「おはようございます、暁晏さん」
「恵弾の分も作ろうか」
「自分の茶がありますから結構ですよ」
「冗談が通じない奴だな、相変わらず」
「冗談はさておき、何の用です」
 暁晏は眦を下げると、湯呑みに口を付けた。喉を鳴らして、半分ほど空にする。
「知恵者に知恵を借りに来た」