翌朝、目が覚めた麻里子は始発で自分のアパートへと帰った。


まだ指で数えるほどしか人がいない車内。


麻里子は座席に腰掛けると、ぼんやりと窓の外を眺めた。


たぶんここから見える景色は、もう何百回と見ただろう。


それなのに、今日はなんだかほっとする。


当たり前のようにあった生活から、遠ざかってしまったせいなのかもしれない。