ブー…ブー…ブー…


「もしもし?」


「もしもし!? 早苗!? あんたいまどこにいるの!?」


狭い廊下を歩きながら携帯に出たのは鈴木早苗だった。


「ごめん、いま駅。気分悪くて外に出ちゃったんだ」


「だったら連絡くらいしなさいよ! みんな心配したんだから」


携帯の向こうから愛里の声が聞こえる。


「ごめんね。でも、もう平気だから」


早苗は愛里に心配かけないように言葉を返すと、


ある“部屋”の前で立ち止まった。


そして、ガチャリ……


扉をあける……