入学してしばらくたってから、

廊下の掲示板に《軽音部》の貼り紙を見つけた徳幸が、

音楽室を覗いた、放課後のことだった。


外からでも、
軽音というより、重低音が漏れて聞こえていたのには気付いたが、

徳幸はそのドアのを叩いた。


すると、部長らしき人物がやって来て、色々と質問攻めに…


「1年生?」

「はい。」

「軽音部希望?」

「いや…どんなもんなのかと…」

「今日はね、吹奏学部がやってるの。」

「そうみたいっすね。」

「て言うかね、ほとんど私達が使ってるの、ここ。」

「え?」

「軽音部って言ってもね、3年に1バンドあるだけで…ほら、うちの学校、ブラバンで有名でしょ!そうすると音楽室使えないから、結局、辞めちゃうみたいでね。」

「あ〜、そうなんすか〜。分かりました。」

「ああ、でもアルにはアルんだから…待ってて。ねー、波多野さーん!ちょっといい?」

「?」


話の途中、突然ひとりの女子が呼ばれ、やって来た。


「はい?」

「彼ね、バンドが希望みたいなの。」

「別に希望ってわけじゃあ…」

「何の楽器ができるんですか?」

「あ、ギターで」

「じゃあ、ベースって弾けます?」