徳幸が自分のギターを持ち、
メンバーとして
さっそく、碧人の家へと向かう、
そんなある日の途中…


「あれ?こっちの道だっけか?」


まだ、こっちに来て間もなく、
慣れない土地勘に戸惑い、
キョロキョロしながら歩いていた時だった。


「ちょっと放してよ!」

「なぁ、答えろよ!俺たちってなんなんだよ!この前、兄貴に会わせたのだって、いったい、なんだったんだっつーの!?」

「…」


カップルがモメていた。


そこの道を、避けたい気持ちはヤマヤマだった徳幸だが、
他の道を行ったなら、
今日は、小出家に辿り着けないような気がして…

なんとなく、
二人の様子をうかがっていた。


その時、

「なに見てんだよ!!」


気が立っている男の怒りが、
徳幸へと向けられた。


「ヤベぇ(なんだよ、案外ガラ悪いトコなのか?この辺)…」


ところが、
女が何やらコソコソと囁くと
男はおさまり、とっとと歩きだし、
なんだかんだ、その女も、
その後に付いて行ってしまった。


おかげで、
なんとか無事に小出家に辿り着いた徳幸は、
初めて、バンドとしての練習に参加することとなった。