短い短い再会。


5秒の再会。






いろいろあった2人だから


何も言わなくてもわかる。



あなたの言いたいことも

私の言いたいことも・・・



ぶつかった視線の間に

甦るあの日々。




好きになってはいけないと自分を押し殺していた。


そう思えば思うほど、求め合う2人。




「お父さん!」


呼びかける子供の声に、あなたは我に帰る。



そして、もう一度私を見て、


微笑んだ。



大好きだった優しい目で


優しい温かい微笑み。



少し頷いて

誰にも見つからないくらい自然に

左手を上げた。




走っていく子供を追いかける背中に

そっとつぶやいた。



『さよなら』