中沢さんって、どんな人なのかな?

「何だ、また来たの?」

呆れたように憎まれ口をたたきながら、芯が迎えた。

あたしはカウンターに座った。

いつものようにお酒を頼む。

「今日さ、中沢さんくる?」

グラスの中に入ってる丸い氷を見ながら、あたしは聞いた。

「中沢さん?

さあ、どうだか。

昨日久しぶりに顔見たから」

「常連さんなの?」

「何で?」

「…何となく」

答えになってないじゃんと、呆れたように芯が言った。

「アタックしようたって、そうは行かないよ?

中沢さん、結婚してるから」

「…結婚、してるの?」

「って言っても、つい最近、1ヶ月前に結婚した」

「…そうなんだ」

中沢さん、結婚してるんだ。

わかってたけど、いざ知ってしまうと、悲しかった。

「新婚ほやほやなんだってさ。

うらやましいなあ」

夢でも見るかのように、芯が言った。

「芯にはそんな相手いないの?」

夢見心地の芯に、あたしは憎まれ口をたたいた。