荒ぶる神・速須佐之男命。


末弟であるその神の血を継ぐ者は小沢成二[オザワセイジ]。


彼の継ぐ真の名は小龍沢[オリュウザワ]。


己を天照大神よりも小さき力の者とし、かつて揖斐川で龍・八又大蛇を倒した伝説を由来とした名は、現代にも強大な力と共に受け継がれている。


本名、小龍沢成二は都に蔓延る魔を絶ち続ける中、心に一つの感情を抱く。


―――虚しさ


幼き頃、両親を眼前で亡くした彼は共に自らの心をも亡くした。


心、亡き者に浮かび上がるたった一つの感情は、彼を何処へ誘うのか――


たった一つの感情が心を全とする中から彼の物語が今、紡がれる…