葉月が何か言いかけた時、広間の扉が開いた。


「お揃いですね」


宗家・蓮舞天照院[レンブアマノショウイン]当主が宗家一族を率いて広間に入る。


蓮舞天照院蒼円時宮[レンブアマノショウイン ソウエン トキノミヤ]。


第198代天皇は、月那主宮と小龍沢の末の二人を真っ直ぐ向き、笑みを浮かべた。


宗家当主の、そのオーラに思わず葉月と成二は2人で頭を下げる。


顔を上げた時には天皇は既に広間の上座に一族を従え歩いていた。


それに従い、月那主宮と小龍沢が両翼に向かい、当主を上座に置く。


広間の門に口を開いて、3家が顔を揃えた。


葉月は目の前の月那主宮一族で1番下の位置にいた。


―――葉月は…9番目か…


相変わらず月那主宮一族は多い。


小龍沢は3人と言うのに。


「09年も幕を開けました。昨年は激動の年でしたね。廉明、多香子。2つの血族の使命を今年も忘るる事無きように」


「は」


2人の当主が頭を下げる。それに応える様に天皇が微笑んだ。