多持せいじとは俺の事。
数学教師をやっている。
生徒を指導したり、後輩の愚痴を聞いたりと色々大変やけど。
それよりもやっかいな事がある。
それで最近悩んでるんや。
携帯の着信音が鳴る。
名前を確認して、ため息をつく。
「なんやっちゅーねん」
そう言いつつも、通話ボタンを押す俺。
「せいじせんぱぁぁぁいー!」
かん高い声が耳に響く。
「俺はお前の先輩ちゃうぞ」
「そうですけど~」
コイツは、後輩の元彼女の杉田真帆。
それしか接点は無いのに、別れたあともちょくちょく電話がくる。
「今度はなんや!」
「私、またフラれたんです~」
海と別れてから、ヤケになったのかなんなのか。
色んな男と遊ぶようになった真帆。
でも結局長い付き合いになるやつはいなくて、最高1週間、最短で2時間の付き合いばかりらしい。
「もう懲りたやろ。 一人で大人しくしといたらどうや?」
「無理~!」
電話口でわんわん泣かれる。
どうしたらええっちゅーねん。
てか、なんで俺に言うてくんねん!
俺はどっちかってゆうと海側の人間やねんぞ。
「せいじ先輩以上に親身になって話聞いてくれる人なんていませんもん」
と、キッパリ言われた。