「ハア~………」







 目の前に見えるどう見ても薄気味悪いとしか思えない建物を前に、綺羅は思いっきりため息を吐いた。







 「ちょっと、何よ。今のそのため息!」







 隠そうともしない綺羅の不機嫌なその態度に、慈は噛みつく。


「お前さ~…、どうやったらいつもこんな薄気味悪いところ探してこれるわけ?」


「あっ、それって褒め言葉~? いや~…、照れちゃうな~…」


「全然、褒めてねぇし」







 どこをどう考えたらそんな風に思えるんだ。







 綺羅は呆れた顔で、目の前でうきうきしている慈を見る。


そして、慈から目の前にド~ンと聳え立っている建物に目を移すと、またも憂鬱な気分になってしまうのだった。







 「綺羅くん。ごめんね~…」







 不機嫌な綺羅の顔を見て、一緒に来ていた真里が謝る。


「どうして、真里が謝るんだよ。別にお前が悪いわけじゃないだろ? 無理やり連れてきたのは相良なんだから」


「それはそうなんだけど………。でもね、今回はちょっと私にも責任があるんだ」


落ち込んだ様子の真里の姿に綺羅は首を捻る。







 責任って………?