ピピピピピピピピ………。





枕元でうるさく鳴り響く目覚まし時計を思いっきり叩き、綺羅はまだ重たい目をこすりながら、ベッドから体を起こす。


(なんとなく、いい夢見てた気がするんだけどなぁ………)


頭をぽりぽりとかきながら、綺羅は着ていたTシャツとズボンをおもむろに脱ぎ捨てた。


そして、壁にかかっている濃紺の学ランに袖を通し、机の上に置かれた鞄を持って、階下のリビングへと降りていったかと思うと、もう一度引き返し、部屋に戻ってきた。





ゆっくりと、机の前に立つと綺羅はおもむろに机の上に置いてあったペンダントを握りしめる。


そして、無造作に学ランのポケットに押し込んだ。


忘れ物はないかとゆっくりと部屋を見回す綺羅の目に一つの写真立てが目に入る。


その写真立てを綺羅は無表情でパタリと裏向けた。





(あれから、もう7年が経とうとしている。もういいかげん、昔のことは忘れないといけないのかもしれない)


ゆっくりと自分の部屋の扉を閉めながら、綺羅は少し寂しそうな瞳で裏向けた写真立てを見ていた。