春の陽射しを残しながらも、夏へと移り変わろうとする6月。


梅雨の時期であるはずなのに毎日のように空高くに太陽は昇り、これでもかというほど照らしてくる。







 「あっち~…」


窓の外を見ながら、自分の手で少しの風を起こすように扇ぐ綺羅。


まだ、登校して間もないというのに、この暑さ。


6時間も耐えられるのかと不安になってくる。


「ハァ~…」


どこともなく、綺羅は無意識のうちにため息を吐いた。


すると………













 バタバタバタバタバタ~~~!!!!!













 この暑い中だというのに、元気に走ってくる足音。







 この暑い中、元気な奴もいるもんだ………





などと、感心しているとその足音が急に止まったかと思うと、バンッ!という大音を発しながら綺羅がいる2年3組のドアが開いた。





「大ニュース、大ニュース、大ニュース!!!」







 お前かよ………。





呆れた顔で見る綺羅の視線の先にいるのは三回も同じ言葉を繰り返した、一応親友である柏葉雅俊(かしわばまさとし)。


お気楽、暢気、騒々しい。


この三つの言葉が綺麗に当てはまる男。







 柏葉は綺羅のことを見つけるとうれしそうに駆け寄ってくる。


その姿に、綺羅は「げっ…」と嫌そうな顔をした。