翌朝、リセは誰よりも目が覚めた。緊張もあって眠れなかったのだろう。

ゆっくりと身を起こし支度を整え、少し頭をスッキリさせようと、

まだ静寂と若干の薄暗さが続く外へと出た。


「いよいよ、か……」


徐々に辺りが明るくなり、空の色の色づきを確認すると、大きく深呼吸をした。

大丈夫、まだ経験は少ないけれど、いつもどおりにやれば助ける事が出来る。

そう何度も自分に言い聞かせ、最後に一発覚悟を決める為に両頬を叩いた。


「母さん、僕は絶対に助けて見せるから……」


握りしめていたのは母からもらったお守り。

エメラルドに輝く石の着いた首飾りである。

それにポツリと語りかけ、首に下げようとしたその瞬間であった。


「……っ!?」


リセの頸椎に衝撃が走り、持っていたお守りがトサリと地に落ちた。

誰がこんな事を……そう確かめたかったリセであったが、それも叶わず意識を手放した。