国一番の大都市アーヴァイス。この都市の城下町に、リセ・アディートは一人で住んでいた。

歳は十八、藍色の髪に緑色の瞳を持った少年である。

背の低さと童顔、そして名前のせいか年相応に見られる事も、男性と思われる事もない事があった。

朝早くに送られてきたりんごの山を見ながら一つ溜息を吐くと、リセは支度を済ませ、

決まって一番に向かうのはギルドと呼ばれる仕事仲介所。しかし彼は無職ではない。

自身の住まいから少しだけ離れた場所で、医院を営む医者の手伝いをしている。

なら何故ギルドへ行くのか。その理由はと言えば。


「夜の内に入った依頼はないようだね……」

「いいや。三件ほど入ったが、全て違う奴らが引き受けたんだよ。一足遅かったね」

「……“またか”」


朝だと言うのに既ににぎわいを見せているギルド。このギルドには様々な案件が飛び込んでくる。