「アーヴァイスから派遣された……」

「はい。長から話は聞いています。何時間か遅い到着でしたが、何かトラブルでも?」

「い、いや……」


出発してから二日後。リセはラピアスにやっとの思いで辿り着いた。

と言うのも、しっかりと汽車を乗り継いだ筈なのに、なかなかラピアスに辿り着かないでいた。

その理由はリセが途中から道を正反対の方向へ向かっていたからである。

汽車を乗り継ぎは確かに間違わずに出来ていたのだが、その後の道中で方向を間違えて進み、

別の街に辿り着いてしまったのだった。

辿り着いた街でそこがラピアスではない事に気付き、慌てて引き返して今に至る。


「そうですか。駅に着いた時にご連絡下されば、こちらから馬車を手配しましたのに」

(……ルーディーさん、何でそれを言わなかったんだ。
僕が方向音痴なの、あの人知っている筈なのに)


悪気のない役場の職員の言葉に、リセは心の中でルーディーに悪態を吐いた。