「…梨。花梨。」


「うぇ!?」


うわの空だった私に、瀬尾君が急に声を掛けてきたから、
ビックリして、少しとぼけた返事をしてしまった。


「ボーッとしてた?」


クスッと笑う瀬尾君。


「う、ごめん。」


「うん。あのさ、ここのコンビニに寄るからちょっと待ってて。」


そう言うと、瀬尾君は目の前にあったコンビニに急いで入っていった。


「はい。お待たせ。」


瀬尾君は、すぐお店から出てくると、
私の目の前に、ホカホカの肉まんを差し出した。


「歩きながら食べよう。俺のおごり。」


「ありがとう。」


私は、笑顔で肉まんを受け取った。


そして、私達は食べながら歩きだした。