転校生、蓮見冬弥。


見た目よし。

頭よし。

運動よし。


…、性格もよし。


男子は神崎くんみたいな人が多いのかと思ったら、そんなことはなかった。

蓮見くんは、男女問わず人気者だ。



ケチの付け所のない、完璧な人。

裏ではファンクラブまで出来たそうだ。



みんなが、目を奪われてしまううちの学校の……“王子様”。






そんな王子様には、多少の謎があるらしい。




『蓮見くんって、放課後誘っても駄目らしいんだよねぇ…』


ボソッと呟きながら、溜め息をはく。

亜美はその大きな目を切なげに揺らす。



『はぁ〜…これじゃあライバルと差をつけられないじゃん!』



独り言のぶつぶつはまだ続くらしい。

あたしはあえて話しかけず、喋らしといた。