パアアァァァーーーン…



乾いた音が響き渡り、赤と緑の街が一瞬にして、黒い闇へと落ちていく。


あれは、聖夜のちょうど1ヶ月前。


救急車のにぎやかな音と共に青いシートから、だらりと滑り落ちた白い手は、たしかに、冬のものだった。


ただ、ただ
震える身体で、呆然と立っているだけの私の横で、
しゃがみこんで、狂ったように泣く秋を支えるのが精一杯だった。



「…冬…どうして…?」


声にならない声を心で叫びながら、秋を必死に抱きしめた。



かじかむ秋の両手を擦りながら、秋を包むように私もしゃがみこむと、いつのまにか
頬に触れては消え、触れては消える
白い粉雪が降っていた。



冬がいなくなったのは、そんな寒い日だった。



…冬…


これからも一緒にいるよ…
って、約束したじゃあない…



ねぇ…冬…