「ここならバレないね!」


と、恋を見た。


…って、恋じゃない!!


「………」


そこには仏教面した香川くんが!!


「ご、ごめんなさい! 恋だと思って…」


私がひとりであたふたしていると、香川くんはまたしきりに鼻を動かす。


…っていうか近いよね!?
私は、香川くんとの距離の近さにビックリした。


「…はあ」


た、ため息!?


「ごめんなさい! 出るね!!」


私がロッカーから出ようとすると、香川くんにガシッと腕を掴まれた。


「はあ…はあ…はあ…」


香川くんは、何故か、呼吸が荒い。
別に、太ってるわけじゃないのに。


どっちかというと細身のはずなのに。


「はあ…はあ…はあ…はあはあはあ」


だんだん、呼吸荒くなってきてる。


目も血走ってる。
…正直、キモイ。


かなりキモイ。


「…はあ…。 主井さん、俺…きみの……」


私の腕はワナワナと震えていた。


本当に無意識に。


「……ち…!」


私は震える腕を力いっぱい振り上げた。


「近付くんじゃねえよっ!この変態っ!!」


バキッ!!と、鈍い音が鳴って、ロッカーの扉が開き、彼はその場に倒れた。